
社会医療法人 岡本病院(財団)理事長
髙木 敏貴
久御山町長
信貴 康孝氏
信貴康孝
移転・改称 10周年記念対談
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久御山町長
髙木敏貴
社会医療法人 岡本病院(財団)
理事長
『地域と共に未来へ』
しんき やすたか
たかぎ としたか
名古屋大学医学部大学院修了、国立生理学研究所受託大学院修了。愛知県立尾張病院外科医長、米国ノースウエスタン大学外科客員講師、名古屋大学第一外科、社会保険中京病院外科医長、医療法人社団マリナ会西本医院理事長、同志社大学生命医科学部再生医学研究室共同研究員などを歴任。2018年、社会医療法人岡本病院(財団)伏見岡本病院院長。2020年、京都岡本記念病院院長(至る現在)。2025年9月から現職。専門は肝胆膵外科、腹腔鏡手術、腹部血流解析、人工血管・血管再生・止血剤・創傷被覆材料の研究開発。
近畿大学商経学部卒業。社団法人宇治青年会議所理事長を経て、久御山町議会議員(2 期)。2012年、久御山町長に初当選し、現在まで4期連続当選。「みんなで築こう 次代に誇れる わがまち『くみやま』」を基本理念とし、「『シン・歴史の創造 く・み・や・ま 夢実現計画』18項目70の宣言」を掲げてまちづくりに取り組む。京都府町村会副会長、公益財団法人京都府市町村振興協会評議員、京都府市町村職員退職手当組合組合長、京都府都市計画審議会委員、京都府都市計画協会副会長、京都府防災会議委員なども務める。
移転・改名 10周年記念対談
『地域と共に未来へ』
地域を支え、地域に支えられる病院として
京都岡本記念病院の移転・改称から2026年5月で10年を迎えたことを受けて、信貴康孝・久御山町長と髙木敏貴・社会医療法人岡本病院(財団)理事長が対談しました。これまでを振り返る中で、地域のための病院としてのあるべき姿、医療と行政の連携の重要性など話題 は多岐に広がりました。
Chapter 1
住民のために力を尽くす決意で移転
信貴町長
移転・開院から10年。久御山町にとどまらず山城北医療圏での地域医療の充実に尽力していただき、お礼申し上げます。
髙木理事長
こちらこそ、ありがとうございます。京都岡本記念病院はこの10年間で診療科を増やし、機能も充実・拡大できました。住民の方々や行政のご理解あってのことだと感謝しています。
信貴町長
かつて救急は町外に搬送されるケースが大半でした。久御山町内に総合病院を、という声は長年の悲願でした。
髙木理事長
移転・開院は、高度な医療を提供し、救急医療に取り組む理想の病院へ飛躍・発展するためには病院を新築し、機能を充実させるべきだという、現在の岡本豊洋会長の強い思いがきっかけでした。移転先を俯瞰的に考え、初代の岡本隆一理事長がこの地に縁が深かったこともあり、場所が決まりました。当時、ここは田んぼと畑でした。
信貴町長
そのような感じでした。
髙木理事長
当時、岡本病院の理事だった本庶佑先生(ノーベル生理学・医学賞受賞者)と岡本会長が二人でこの地に立ち、「ここで医療を提供しなければ」との思いに至ったそうです。移転を望む多くの声をいただき、ここで住民のために力を尽くすと決意したとのことです。
信貴町長
救急だけでなく、高度かつ専門的な体制を備えた病院が立地し、住民の安全や安心の度合いが大いに高まりました。

Chapter 2
どんな疾患も完結で きる病院を目指す
髙木理事長
10年間、力を入れてきたのは、やはり救急医療です。命を守るために最も力を発揮するのは救急医療であり、「24時間365日断らない救急」を掲げてやってきました。救急の充実には、あらゆる重症患者を受け入れ、医療の質を高める必要があります。そのため、どんな疾患も完結できる病院となることを目指しました。高度先進医療に取り組むまでになったのも、その結果だと思っています。
信貴町長
京 都岡本記念病院は、がんの高度な診療を受けることができる上、がん相談支援センターも備わっています。一方、くみやま岡本病院が2025年、隣接地に開院し、リハビリテーションや在宅療養への移行など、きめ細やかなケアが充実しました。
髙木理事長
急性期医療や高度先進医療の充実を進める中で、その先もケアする必要を感じていました。急性期から回復期、在宅までを一貫して、安心して暮らしていただくことが私たちの目標です。
信貴町長
このエリアを「 医療福祉交流ゾーン」と位置付け、施設の集積を進めました。隣接地には特別養護老人ホームの「久御山しみずの里」様も開設され、医療から介護までカバーする「メディケアゾーン」が完成しました。
髙木理事長
くみやま岡本病院の開院で地域医療の一層の充実・発展を図ることができたと思います。同時に京都岡本記念病院は一層、急性期に特化・充実させることができました。

Chapter 3
社会の変化に合わせて医 療のあり方を考える
信貴町長
日本は高齢化に加え、独居世帯や社会的に孤立されている方々の増加が深刻です。久御山町でも健康への気づきが遅れる住民がおられるのではと心配です。
髙木理事長
病院とは、社会の要請で成り立っているものです。おっしゃるように高齢化が進み、働く世代が減るという社会の変化の中で、医療は変わっていかねばなりません。例えば、さまざまな疾患を抱えた高齢者の患者さんの対応は一つの病院 、一つの医者で支えきれるものではありません。医療機関や医療者それぞれが担う役割を考える必要があります。
信貴町長
久御山町では若い世代からの健康保持や、病気を未然に防ぐ一次予防にも取り組もうと考えています。セルフケアやセルフメディケーション(自身の健康に責任を持ち、軽度の不調は自分で手当てすること)の習慣づけのほか、次世代を担う若者にはプレコンセプションケア(将来の人生設計を考えて健康と向き合うこと)も必要だと考えています。
髙木理事長
保険料を納めている働く世代が減る中、医療費をどう支えるのかも大きな課題です。そこで求められるのは、医療の効率化です。質を落とさず、コストもかけず、効率的に治療する。同時に医療としても進化せねばならない。とても難しい問題です。

Chapter 4
危機管理、非常に重い責任
信貴町長
10年間での大きな出来事に新型コロナウイルス感染症がありました。ワクチン接種会場を病院の敷地に設置させていただくなど、密に連携させていただいた結果、乗り切ることができたと考えています。
髙木理事長
コロナ禍が起きたのは2020年。まさに私が京都岡本記念病院の院長に着任した時でした。急速に重症化し、亡くなる症例が多く、重症者にどう対応するかが最大の課題でした。感染者を早く見つけて隔離す るため、院内でPCR 検査ができる体制を早期に整えました。
信貴町長
危機管理といえば、自然災害も重要です。先日も令和8年熊本地震が発生しました。大きな地震が起きると電気や水道が寸断され、医療に大きな影響が生じます。京都岡本記念病院は災害拠点病院に指定されており、心強い限りです。
髙木理事長
非常に重い責任を負っていると考えています。災害時にしっかり役割を果たすことは職員全員、強く自覚しており、あらゆる事態を想定して備えてい ます。今回の熊本地震でもDMAT(災害派遣医療チーム)を派遣しました。現場で何が起こり、何をしなければいけないのか、情報を共有して学びを深めています。

Chapter 5
病院は「鎮守の森」と して
信貴町長
健康のための行政の施策は、京都岡本記念病院が町内にあるから成し得るものであり、心強い限りです。今後も連携を密にし、全力でサポートしたいと思います。
髙木理事長
10年間で救急搬送数など実績は大きく上がりましたが、数字を追い求めるものではありません。それよりも住民の方々や患者さんが安心に暮らせるように努めることが究極の目標です。病気の時に限らず、いつも安心を与え、健康を守ることこそが医 療の務めです。
信貴町長
行政は安全・安心の上に成り立っており、大きな部分を医療機関に頼っています。これからも地域の健康を守り続けていただけるようお願いします。
髙木理事長
岡本隆一・初代理事長は、病院は「鎮守の森」であるべきだと話していました。病気の人だけが集まるのではなく、社会の中での心の拠り所であれ、という意味です。私たちは「地域を支え、地域に支えられる病院」でありたいと思っています。地域のためにできることは何でもしていきたいと考えています。


